社会の参考書紹介ブログ  解き方×周辺視

高校入試社会を中心に、参考書の中身の解説をします。

入試問題解説 記述問題の妙

入試問題について、私なりに解き方やらをお伝えしていきます。

(構成)

1 問題文紹介とシンキングタイム

2 私の解き方。記述問題の解き方

3 随記

 

1(問題)

久留米大附改(線部筆者)

冬季オリンピックの開催地に関して、次の問いに答えなさい。

第1回大会はフランスのシャモニー・モンブランで開催され、第10回と16回も同様にフランス南東部で実施されました。

その理由を、地形から見た特色を必ず含めて30字以上40字以内で答えなさい。

 

※文字数にこだわるのは解き慣れてからだと思うので、あまり気にせずお考え下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

thinking…

 

 

 

 

 

 

 

 

2(私の解き方)

記述問題は、昨今の社会の学力を図る上では避けて通れません。

公立では広島や鹿児島が記述問題の格好の練習問題になりますね。

2020年の広島は全体の半分ぐらいが記述問題だったと思います。

直近は知らんけど…

 

まず、入試で記述問題を解くには結構なコツがいると思います。

逆に言えば、コツさえつかめば記号問題とさほど差がないし、なんなら記号問題の文章で記述問題の作り方がわかったりします。慣れたらね。

 

コツといってもそんなキャッチ―な技があるわけじゃありません。ポイントがあるだけ。

① 何を聞かれてるの?   (問題文太字)

② 解くときの条件は何? (問題文赤文字)

③ 特別なヒントはある?  (問題文下線)

 

この3つを探すことが大切です。

①と②は公立レベルでも、見つけられなかったらあてずっぽうになります。

受験生だから問題慣れしているし、それなりに知識があってなんとなく解けた

なんてことは勿論ありますし、それは素晴らしいことだと思います。

ただ、精度を挙げるならこのあたりのワザは身につけたいところですよね。

 

で、③なんですが、難関になればなるほど、答えを限定するために微妙なヒントを施してくれたりします。

 

今回はそのケースだったんじゃないかと思って紹介させていただきました。

 

 

①何を聞かれているの?

理由です。細かく言えば、冬季オリンピックがフランス南東部で複数回開かれている理由。言い方を変えれば、冬季オリンピックを行うにあたってフランス南東部が適切である理由ですよね。でも、冬季オリンピックを行う適切な条件って何なんでしょうか?

 

②解くときの条件は何?

「地形から見た特色を必ず含めて」、「30字以上40字以内で」答えることですね。「地形から見た特色」なんて、解答の的を絞らせようとする意図にしか見えませんものね。

 

ここまでで、何を書かなきゃいけないかは大体わかりました。

でも、一番の問題は、「冬季オリンピックを行う適切な条件」って何だろう?ってことだと思うんです。

 

まぁ、なんとなく思いつくのは「寒い」→「雪が降る」ぐらいのものですよね。私がこの問題を見たときに真っ先に考えたのは、「地中海性気候だから、冬の降水量がそれなりにあるってことなのか?」なんてとんちんかんなことを考えていました。それじゃ「地形」は関係ありません。

 

さぁ困った、と、思いながら、私の考えがぱっと開けたヒントが、やっぱり問題文にあったわけです。

 

③ 特別なヒントはある?

私が「ん?」と思ったのが、オリンピックって、都市の名前だけ付いてますよね。モントリオールオリンピックとか、東京オリンピックとかね。

でもこの問題文、「シャモニーモンブラン」って書いてありますよね。

なんでか知らないけど、都市だけでなく、開催の山(モンブラン)にまで触れているわけです。

 

で、ははぁとなる。

 

「地形ってのは、おそらく山だろうね。モンブランがかかわってる。」

 

これで何とかなりそうです。

山、積雪量。この2つのキーワードでだいたい呑み込めた。

 

モンブランはヨーロッパアルプスの最高峰です。知っていれば素晴らしすぎますが、知らなくてもフランス「南東部」というところでアルプス山脈の近くだと考えることはできます。

 

むしろできたほうがいいですね。山や川の位置を頭の中でおさえているというのは、やっぱり大切な能力なんです。暗記物だと軽視されがちだけど。

 

だいたいまとまったことは、これで書けると思います。

 

ある参考書のA:

アルプス山脈の西側に位置し、標高が高く、湿った偏西風の影響で積雪量が多いから。

 

3 随記

模範解答には、「湿った偏西風」のことが書いてありますが、これはいわゆるオーバーキルになるかもしれません。「偏西風」は地形の特色ではない。

ただ、そういう意味では、この問題に関しても「気候の特色」にも触れさせてもよかったと思うし、私立の高校入試は正直このあたりの条件絞りが甘かったりします。公立はそこをまぁまぁ絞る代わりにどうしても正答率が安定してしまいがちですね。

 

公立、私立の問題はけっこう正反対の顔つきをしていますが、良し悪しはどっちがどっちとも言えません。クオリティは「一長一短」だと思います。

ただ、やっぱり工夫に工夫を凝らした私立の問題を解くのは楽しいし、解けた時の自尊感情も上がりやすいような気がします。

 

 

今回はこんな感じでした。

ありがとうございました!