社会の参考書紹介ブログ  解き方×周辺視

高校入試社会を中心に、参考書の中身の解説をします。

入試問題 地理の統計 

(構成)

1 問題文紹介とシンキングタイム

2 知識、思考とヒント

3 周辺視と私の解き方

4 まとめ

 

1(問題)

愛光改(線部筆者)

問1:グラフ1は4つの工業地帯の工業生産額割合(2001年、単位%)です。阪神工業地帯に当たるものを選びなさい。

 

問2:グラフ2は日本が輸入に依存している工業原料の、輸入相手国別構成比です。石炭に当てはまるものを選びなさい。

 

グラフ1

グラフ2



 

thinking…

 

 

 

 

 

 

 

 

2 知識、思考とヒント

 

愛光高校は愛媛県にある全国屈指の私立高校みたいです

(正直入試問題でしか知りません笑)

 

医学部の合格実績が全国屈指みたいですね。

 

全国高校入試問題正解にはほぼ掲載されている学校です。

 

あいうえお順やから、大概の場合一番最初です。

 

 

 

 

 

 

これは実にあいまいなんであんまり信用しないでほしいんですが、

 

「良問」や「難問」には、

 

① 知識と思考力があるなら、よく見る問題をヒント少な目で解かせよう

 

② 知識と思考力があるなら、初見の問題をヒントを手掛かりに解かせよう

 

というパターンがちらほら見られます。

 

※繰り返しますが、分類じゃないですよ。これだけでは説明が付きません。

 

愛光高校は明らかに①のほうが多いイメージです。

 

 

これを多少意地悪な言い方に置き換えると

 

 

不親切

 

 

に見えるんですね。

 

 

 

 

昨今の入試問題の中には

 

「社会科って、結局は暗記科目」

 

という周囲の声に押されて、

 

先述した②を、悪い意味で勘違いしたような問題が増えてきています。

 

ヒントいっぱい出すから、それで答えを導き出そう!それが思考力だ!

 

という、サービス精神旺盛な問題ですね。

 

 

 

「思考力を試す」ことと、「知識はいらない」

 

ことが、

 

哀しいかな、同義になっているんです。

 

 

 

 

社会の力は知識も思考も両方問うているんだから、

(あくまで願望ですが、そうであってほしい。公立は違うかもしれませんが…

 1問で1つの観点しか問うてはいけないなんて本当はおかしいはずなんです。

 しかも私立だし)

 

 

①のパターンを「不親切」だと片づけるわけにもいかないのではないでしょうか。

 

 

 

両方の力があって、やっと解ける問題

 

こそ、難関校の問題にふさわしい

 

という考え方を、

 

愛光高校は崩していない感じがして、

 

私は格好がいいなと思います。

 

開成、東大寺、滝みたいなところは、そのあたりを徹底しているような印象がなんとなくあります(思いこみかな)。

 

 

 

 

 

 

3 周辺視と私の解き方

 

 

問1

さて、ちょっと違うアプローチから行きますが、

 

問1の問題をあっさり簡単塩味に解いてしまおうと思えば、

 

ある情報を流してあげればかなり状況が変わります。

 

☆周辺知識

 

その情報とは、入試問題をある程度知っている人ならわかる人も多いですが、

 

出荷額合計

 

ですね。

 

四大工業地帯(北九州、阪神、中京、京浜)のうち、

 

一番出荷額が多いのが中京工業地帯

 

逆に少ないのが北九州

 

というのは、受験生なら知っておかなければならない。

 

(私の解き方)

 

だからこそ出荷額がはっきりしていれば、

 

その数字の大小で、

 

少なくともこの問題なら2択まで削れるはずなんです。

 

あとは

 

京浜は機械が強い(ずいぶん前に「印刷業」の表記はなくなりました)

 

阪神は金属が強い

 

と知っていれば、

 

もうどんなグラフを出されようが答えは出るんです。

 

つまり、易しい入試問題ならば、

 

上記の太字下線部2つの知識さえ知っていれば、この問題は怖くないんです。

 

 

そういう塾、受験生の油断をつくあたりに、

 

愛光のこの問題の魅力があると私は勝手に思っています。

 

あえて出荷額を隠すことで、

 

4つ全ての特徴を捉えていないと(知識)

 

そもそもそれぞれが比較できないように(思考)

 

問題を作っているんですね。

 

それでこそ、知識、思考を両方使って答えるということだろう!?

 

なんてメッセージ性を、私だけが勝手に想像しています。

 

 

 

 

北九州  金属 食料品

 

阪神   金属 繊維

 

中京   機械 繊維

 

京浜   機械 

 

色分けで気づいていただけたと思いますが、

 

工業地帯どうしは、結構産業がかぶっているんです。

 

だからこそ、この問題はより難しいんですね。

 

 

答 エ ※他のグラフと比べると、金属、繊維が強いのは明らかにエ

 

ちなみにもう一つの周辺視ですが、

 

最近は「工業地域」といって、

 

歴史的には工業地帯の後にできた、工業地帯の周辺にあたる工業立地があるんです。

 

「関東内陸」「東海」「瀬戸内」

 

なんかね。

 

このあたりは、出荷額でいうとすでに京浜よりも盛んな地域がたくさんあります

 

そのうち、出荷額を覚えておくことに意味がなくなる日も来るかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

問2

 

同じことを繰り返すだけなのである程度端折って話しますが、

 

この問題の「不親切」なところは勿論、

 

「石炭」以外の工業原料はなんなの?

 

というところですね。

 

こうすれば一目瞭然ですが、次の問題文だったらどうですか?

 

問2改

 

次のグラフは、日本における、石炭、鉄鉱石、銅、石油、ニッケルの、輸入相手国別構

 

成比です。石炭に当てはまるものをア~オから選び、記号で答えなさい。

 

 

 

 

ね?

 

 

 

ニッケルまでぶち込んできやがるとはね(調べましたよ…時間かかった…)

 

 

改の方だったら、消去法もききやすいですよね。

 

 

 

けど、これはまだマシな方ですね。

 

石炭  オーストラリア 中国

 

鉄鉱石 オーストラリア ブラジル

 

これは有名すぎますから。

 

けど、このへんがうろ覚えで、

 

なおかつもともとの問題の方だったら、

 

アが鉄鉱石かどうかもはっきりしないまま検討しなきゃいけないんです。

 

 

そこに見たこともないニッケルが混ざってるんだから

 

 

混乱すること必至です。

 

 

「そりゃそうだろ。混乱して、それでも検討しろよ」

 

 

みたいなサディストが垣間見えますね。

 

 

 

答 ウ

 

 

 

4 まとめ

 

「骨のある」

 

問題が、私立にはいっぱいあります。

 

何度もお伝えしているように、

 

社会はあいまいな科目ですから、

 

持っている知識と思考を総動員して答えてナンボだと私は思っています。

 

だからこそ、

 

条件さえ整っていれば思考で答えられるよ

 

みたいな、

 

読解力しか問うてないような

 

すごく乱暴な言い方をするなら

 

「軟弱な」問題

 

に収束するようなことがあると、

 

それは社会科の衰退じゃないかなー

 

なんて思ってしまいます。

 

「不親切」な問題は嫌われがちですが、

 

どうかこのコンプライアンスの世の中でも、

 

気骨ある問い方をしてくれる私立が滅びないことを願ってやみません。

 

 

 

 

今回は以上です。

 

ありがとうございました。